論文の調べ方

これはなにか

卒研配属された学生さんが,先生や先輩から「論文探してみて」と言われたときにどうすればいいか,悩んだときようのアドバイスとして書いています。

そもそも論文をなぜ調べるのか

何かしら問題や困ってること,わからないことがあって,それに対して,研究することで,問題解決や新しい知見を発見するというのが一般的な流れです。研究する上で,世間ではどこまで分かってるのかを明らかにしておかないと,二度手間になる可能性があります。勉強している段階だと,同じことをやってみるというのも大事ですが,何が分かってて,何が分かっていないのかを知っておくのは大事なことです。

そのためにやるのが先行研究の調査(論文検索)です。

具体的な方法

いまどき,論文検索(サーベイ)はネットで検索するところから始まります。「論文 調べ方」を検索しても情報が多すぎてよくわからないので,とりあえずの方法を書きます。

まず調べたいキーワードがあったら,それをGoogleなりで検索すると思いますが,学術論文に関してはGoogle Scholar https://scholar.google.com/ で調べるほうが,まともな情報に当たると思います。試しに"LOCA nuclear"とか調べてみると,普通にGoogleで検索するのとだいぶ違うなという印象。

福井大学でも使えるWeb of Science https://www.flib.u-fukui.ac.jp/wos/wos.html も論文検索するのに便利です。論文がどれだけまともかとも調べられます。Sciece Direct https://www.sciencedirect.com はElsevier系の論文に関しては調べやすいので,結構使います。

論文の読み方

論文を調べていて,いきなり頭から全部読もうとしても挫折します。まずはアブストラクトを見て,自分の知りたいことが書いてあるかを考えます。その後,イントロとサマリーを見ます。それで,全部読もうと思ったら,最初からちゃんと読めばいいかと思います。まずはアブストラクトを読むことをおすすめします。

それでも最初はよくわからないことだらけだと思います。そもそも引用文献も見ないと,全体を理解するのは難しいので,引用文献もたどることになります。

さらに調べる

上でも書きましたが,論文は引用文献を含めて,相互に関連しています。Aさんのこの論文で,こういう問題提起や新しい手法が提案されて,それをBさんがさらに調査したとか改良したとかが延々連なることもあります。

なので,最初に読むべき論文を決めて,それを読んだあとは,それをさらに引用している論文や,逆に読んだ論文内で引用した論文等を読んで,調べる範囲を広げていくといいかと思います。芋づる式にたどるほうが,脈絡があるので,わかりやすい気がします。

補足(または個人的意見)

  • 機械学習とかの情報はQiita https://qiita.com/ とかにも情報がある。たまに論文紹介してる記事もある。
  • プログラムとか計算機関係のことなら,Stack overflowとか調べるとわかるかも。
  • はじめは辛いがTwitterで研究者をちまちまフォローしていくと,論文の情報とか見れるようになる。ちゃんとした研究者はTwitterで情報発信してるイメージがある。

インパクトファクター

論文の雑誌にはいろいろレベルがあります。インパクトファクターが高いと,有名雑誌というやつで,NatureとかScienceは40くらいあります。原子力系だとそこまでインパクトファクター高い雑誌がないので,インパクトファクターが高くないから信頼できないかという一概にそういうわけでもないです。Nucl. Eng. Des.とはインパクトファクター1ちょいですが,原子力業界の人間なら誰でも見てます。

熱音響実験

熱音響自励振動実験

去年から始めたループ管熱音響エンジンの実験ですが,ついに自励振動するようになりました!めでたい。

現状のループはこんな感じ。

engine_photo

下記はデータロガーの画面ですが,途中から振幅が増幅しているのが圧力の計測データです。振動が開始して,振幅が増大しています。

engine_graph

圧力波形をFFTかけたデータ。130Hzにピークがあり,ループ1周を1波長とするモードで発振しています。

engine_FFT

興味のある方は見学にいらしてください。

今年の会議2

国際会議など

今年は新型コロナ(COVID-19)の影響で,ほとんどの会議が中止かオンライン開催に移行しています。原子力学会はオンライン開催でした。

「日韓の熱流動の会議NTHASは当初の開催予定を変更して,2021年3月開催予定になりました。」と9月に書いたのですが,結局更に延期になって,2022年開催になりました。 https://www.nthas12.org

数値流体力学シンポも沖縄開催予定が結局オンラインのみになりました。沖縄に行けなかったのは残念です。 https://www2.nagare.or.jp/cfd/cfd34/index.html

反面,オンラインで開催のイベントが増えて,東京とか出張するのはためらわれたイベントも参加しやくなったりしました。今後もオンラインとハイブリッドでイベントをやる文化は残ってほしいです。

熱音響エンジンの製作2

熱音響自励振動実験

去年から始めたループ管熱音響エンジンの実験ですが,なかなかうまくいかないです。 今日もいろいろやりましたが,自励発振に至らず。

熱音響現象の例で出てくる。Rijke管。オランダ人の同僚の先生に聞いたら,発音は「レイケ」じゃないみたいです。「ライク」だか「ライケ」みたいです。

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今年の会議

国際会議など

今年は新型コロナ(COVID-19)の影響で,ほとんどの会議が中止かオンライン開催に移行しています。原子力学会はオンライン開催でした。

NUTHOSは中止になり,代わりにATHという会議で代替することになりましたが,こちらもどういう感じで開催されるのかはっきりしません。

日韓の熱流動の会議NTHASは当初の開催予定を変更して,2021年3月開催予定になりました。 https://www.nthas12.org

これは今のところ,開催されそうですが,これくらいしか現地開催の会議なさそうです。

数値流体力学シンポは沖縄開催なので,申し込みましたが,オンラインだけになる可能性もあります。沖縄いけるといいなー。 https://www2.nagare.or.jp/cfd/cfd34/index.html

熱音響エンジンの製作1

熱音響エンジン製作開始

今年度はまず熱音響現象の研究の手始めに熱音響エンジンの製作に着手しました。物の手配が大体済んだので,今日から製作開始です。

まずは配管切るところから。蓄熱器も業者さんに作ってもらいました。

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普段HIOKIのデータロガー使ってますが,今回初めてグラフテックのロガーを使ってみました。使い勝手は異なる部分も多いですが,グラフテックもなかなか使えると思います。

熱音響研究会

熱音響研究会

当研究室でも「熱音響現象」の原子力への応用に関する研究を検討しています。その関係で,熱音響に関する研究会に誘っていただいたので,渡辺先生と石垣で参加してきました。

研究会は16日と17日の2日間に渡って開催されました。学生さんの発表がメインでした。最新の熱音響に関する研究内容についての情報収集ができて有意義でした。

NURETH-18

国際会議NURETH-18

熱水力に関する国際会議 NURETH-18 (https://nureth2018conference.wordpress.com) がアメリカ・ポートランドで開催されました。今回はJAEAの石垣として発表してきました。

NURETH18

NURETHは熱水力関係で最大規模の会議です。パラレルセッションも大量にあります。国際会議で発表すると話かけられたり,知り合いが増えたりするので,積極的に参加したほうがいいと思います。

OBの坂本さんの留学先だったFZJのKelmさんが,格納容器内挙動を解析するための統合ソルバcontainmentFoamをOpenFOAMで開発しているという発表をしてました。共著者に坂本さんの名前も入ってました。なかなか勢力的な試みでした。

バンケットは会場の近くにある科学館みたいなところでした。なかなか斬新。

バンケット

次回のNURETHは2021年8月末にベルギーのブリュッセルです。頑張って研究しましょう。下のハガキの写真はバンケットの帰りにもらいました。

NURETH19

会場周辺の街なみ。路面電車が走ってます。

portland

来年の会議

2020年は国際会議がいっぱいあります。

  • NUTHOS-13
  • ICONE
  • CFD4NRS
  • NTHAS

他にもちらほら。