シビアアクシデント解析コードの整備・教材化と研修<令和2年度>

【シビアアクシデント解析コードの整備・教材化と研修】

1.シビアアクシデント解析コードの導入・整備

 THALES2コードの概要,入出力データの取扱いや実行方法,プロット処理,解析評価など各段階での重要なポイントを整理し、一連の解析が実施できるように講義動画(Eラーニング教材)を作成した。これを工学研究科博士前期課程の正規カリキュラム科目「原子力規制」に取り入れた。

2. 原子力防災研修

 令和2年8月27日に行われた福井県原子力防災訓練に参加した。新型コロナウイルスの影響で昨年と比べ訓練規模は縮小されたものの、原子力発電所事故の防災訓練では全国で初めて、新型コロナウイルスの感染防止対策を踏まえた広域避難が実施された。避難先となったプラザ萬象(敦賀市)では、参加者は手指の消毒や検温・問診を受けた後、濃厚接触者や感染疑い者と区分けされ、屋内退避後も間仕切りを使うなど、感染防止対策が徹底された訓練内容であった。

3. Eラーニング教材開発

 本事業では、深層防護第4層・第5層の教育強化を目的とした教育カリキュラム開発を実施してきた。その成果を活用して工学研究科博士前期課程カリキュラムに「原子力規制」として科目登録し、正規カリキュラムの一環として令和2年後期から授業を開始した。主な内容は下記のとおり。

 1) シラバス・コース・学生の登録
   後期15コマ分(外部講師によるセミナーを含む)の授業内容を検討し、シラバスの登録を行った。また、動画配信用サービス(下記「LMS」という)上に、「原子力規制」の授業コースを作成し、履修を行う学生を登録した。
 2) 授業用資料の精査・登録
   原子力発電所の基礎や軽水炉の主要設備、工学的安全設備、シビアアクシデント、シビアアクシデントに対する安全対策、原子力防災、廃止措置などといった原子力規制に係る授業用資料を精査し、動画コンテンツを作成・編集し、LMS上に登録を行った。
 3) 実習用資料の作成・登録
   シビアアクシデント解析コードTHALES2の概要や、解析コードを用いて、事故進展や対策(EALとの関連から防災対策まで)をまでを学ぶことができる実習用資料を作成した。コロナの影響で、こちらも動画コンテンツとして、LMS上で受講する形式とした。
 4) 理解度チェック
   動画コンテンツ毎に、理解度チェックを行うための小テスト(多岐選択、〇×問題、記述等)を作成した。

 

「原子力規制」授業コース(LMS内)

<「原子力規制」授業コース(LMS内)>

 

「原子力規制」のシラバスは以下の通り。
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第1回  ガイダンス
第2回  福井県における原子力政策
第3回  深層防護の考え方
第4回  過去の原子力発電所事故(シビアアクシデント)
第5回  原子力発電所の主要設備
第6回  原子力発電所の安全設備[加圧水型軽水炉]
第7回  原子力発電所の安全設備[沸騰水型軽水炉)
第8回  新規制基準の概要とその対策
第9回  原子力災害対策
第10回 原子力発電所の廃止措置
第11回 国際的な原子力規制
第12回 シビアアクシデント解析
第13回 原子力規制理解度確認
第14回 原子力規制の変化と被ばく評価〔外部講師〕
第15回 原子力規制庁セミナー〔外部講師〕
第16回 試験(レポート)
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なお、この授業内容は、授業登録した受講生のみLMS上で公開している。

 また、学生がLMS上に提出したレポートを対象として、教員がタブレット等を使って一括して採点することができる仕組となる「レポート管理機能」を整備した。これにより、レポート採点業務の作業効率化を実現することが可能となる。

 

レポート管理機能の概要図

<レポート管理機能システム概要図>