シビアアクシデント解析コードの整備・教材化と研修<令和元年度(平成31年度)>

【シビアアクシデント解析コードの整備・教材化と研修】

 1. シビアアクシデント解析コードの導入・整備

 既存のシビアアクシデント解析コードTHALES2の解析技術の取得のため、特命職員がTHALES2コードの開発元である日本原子力研究開発機構での研修を受講した。研修内容は以下のとおりである。

・解析コードの概要/解析環境
・入出力ファイルおよび関連ファイルの取扱い
・解析コードの実行方法/出力ファイルの処理方法
・解析結果の評価方法
・解析実行時のエラー対処法
・入力データの作成方法
・事故シナリオ解析

 THALES2コードの入出力データの取扱いや実行方法、プロット処理、解析評価など各段階での重要なポイントを含め、一連の解析手順や操作を習得した。試解析として、日本原子力研究開発機構から提供を受けたサンプル入力データをベースに、新規制基準の審査に係る主要な事故シナリオ入力データを作成、解析し、それぞれのケースにおける熱水力やソースタームの解析結果をプロット図にまとめ、解析評価を行った。そして、シビアアクシデントの事故シナリオや計算結果の種類や演示、感度解析など効果的な活用方法を検討した。
 解析コードの解析環境や計算処理時間、取扱いやすさの面などを鑑み、本学でのシビアアクシデント教育の中でTHALES2コードを活用していく。

解析結果例

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2. 原子力防災研修

 令和元年度福井県原子力総合防災訓練に参加した。8月30日、関西電力美浜原発(福井県美浜町)で重大事故が起きたとの想定で訓練が行われ、美浜町のオフサイトセンターにおける訓練、美浜原発の作業員のヘリコプターによる搬送訓練の様子などを見学した。8月31日、訓練には約9000人の住民の方が参加した。そのうち、約1000人が県内外の避難先施設まで広域避難し、避難者として避難訓練を実施した。放射性ヨウ素による被ばくを防ぐヨウ素剤(模擬したガム)の配布や放射性物質が付着していないかを調べるスクリーニング、放射性物質を拭き取る簡易除染など避難指示に従い一連の避難行動の流れを確認した。また、原子力防災専門家による解説を受けながら、広域避難における問題点や課題について議論した。

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3. Eラーニング教材開発

 深層防護第4層・第5層に関する教育を行う前に基礎知識として必要となる原子力発電所の主要設備、工学的安全設備、原子炉補助設備等を学習できるEラーニング教材を作成した。Eラーニング用の動画教材コンテンツは、各原子力基礎事項について講義資料(パワーポイント、セリフ)を作成し、それを用いて動画撮影・編集を行い、動画教材コンテンツの拡充を図った。作成した動画教材コンテンツを学生がPCやスマートフォンなどマルチデバイスで視聴できるように、環境整備として、動画配信用サービス(LMS)の構築、動画配信用サーバの公開調整を行うとともに、運用手順を作成した。
 下記にEラーニングシステムの概要図を示す。教員が大学内に設置した動画配信用サーバに撮影した講義動画をアップロードすることで、本システムに登録したユーザー(学生)がパソコンやスマートフォンからいつでもどこでも視聴できる。また、本システム上で小テストや満足度調査の実施、ユーザー再生回数の表示も可能である。令和2年度に補助教材として正規カリキュラム「原子力規制」にて活用の予定。学生の意見などを反映し、動画の改良、小テストなどの導入による習熟度確認、視聴管理を拡充し年度内に本格運用する。

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<Eラーニングシステムの概要図>

 

<サンプル講義動画>