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令和元年度防災・日本再生シンポジウムを開催しました

 福井大学では、11月16日(土)に敦賀市・きらめきみなと館で、第8回となる防災・日本再生シンポジウム「日本一の原子力立地 福井県における防災危機管理Ⅷ~過去の地震・津波災害を教訓として~」を開催しました。
 このシンポジウムは、未曾有の災害に襲われた3.11東日本大震災・福島第一原子力発電所事故を契機に、一般社団法人国立大学協会との共催により、原子力防災への意識向上を目的に平成24年度から毎年実施しています。

今回は1948年に発生した福井地震から70年が経過したということを踏まえ、「過去の地震・津波災害を教訓として」をキーワードに、地震学や地震工学などの専門家5名の方にご講演いただきました。
 はじめに本学副学長の末理事より開会挨拶をいただいたあと、前半の部として本学教育学部教授 山本博文氏、福井工業専門高等学校環境都市工学科教授  吉田雅穂氏、本学工学部教授 小嶋啓介氏にご講演いただきました。
 最初の講演の山本先生は構造地質学を専門としており、今回は「若狭湾に襲来する大津波-海底活断層・津波堆積物・古文書からその可能性を探る-」との題目のもと、福井県高浜町薗部地区の津波堆積物調査結果にもとづき、津波が少ないとされる若狭湾で過去に襲来した大津波の可能性と今後の大津波対策の必要性が示されました。
 次の講演の吉田先生は「災害記録で振り返る福井地震」と題し、当時の実際の写真や記録から福井地震を振り返りました。1945年の福井空襲、1948年6月の福井地震、同年7月の豪雨水害と続いて福井県を襲った災害の様子を“複合災害”と称し、その被害の凄惨さと後世への影響について述べられました。
 前半の最後には小嶋先生から「嶺南地域の地形・地下構造と地震災害のリスクについて」ご講演をいただきました。なぜ福井地震では家屋全壊率が100%に迫るほど高かったのか、その理由の一つとして軟弱地盤における地震動の増幅があげられ、地下構造を解明することの重要性が述べられた。さらに常時微動計測による地下構造の推定法について概説し、嶺南地域での取り組みについてもご説明されました。
 また、途中の休憩時間を活用し、敦賀キャンパスで学ぶ学生による研究所の教育・研究活動を紹介する時間を設け、参加者の方と意見を交わしました。
 後半の部では福井工業高等専門学校一般科目教室教授 岡本拓夫氏と本学附属国際原子力工学研究所准教授 大堀道広氏にご講演いただきました。
 岡本先生は福井県内の高校でも学生の指導をされており、今回は「福井県の地震活動と防災教育の必要性」という題目で、福井地震に関連する福井平野東縁断層帯の地震活動について解説されるとともに、市民、高校、高専等の生徒が一体となった防災活動、防災教育の重要性が実践例に沿って示されました。  
 シンポジウムの最後は大堀先生から「北陸3県の津波ハザード評価から考える」というテーマでご講演いただきました。北陸地方は津波や地震も少ないため防災意識が低いのではないか、という指摘の後に、若狭海丘列付近や能登半島北方沖、同東方沖の3断層による地震が起きた場合、どの程度の震度や津波が予測されるかについて、地震の規模をM7.6とM7.8の2通りを想定しお話されました。

地震・津波災害に関する研究、取組みについて、聴講者の方から貴重なご意見・ご提案をいただく機会にもなり、大変有意義なシンポジウムとなりました。

 

令和元年度防災・日本再生シンポジウムの様子.pdf