浮遊液滴表面の境界層流れ

原子炉の過酷事故解析には、高温溶融物の物性が必要になります。また、溶融金属利用や材料創製技術にとっても、高温溶融材料の物性評価は不可欠です。しかし、炉心溶融が起こるような高温下では容器を用いた通常の測定は困難となるため、浮遊液滴を用いて、その形状振動や回転から物性を測定する技術の開発を進めています。

地上で液滴を浮遊させるためには、何らかの外力が必要となります。超音波を利用する手法では、表面近傍の薄い層に特徴的な流れが誘起されることが解りました。Fig.7は、自作のCFDコードにより得られた超音波1周期の表面近傍の流れを示したもので、青い部分が液滴側、赤い部分が気体側です。表面流は時間帯によっては、液滴内外の流れに対し逆流になっていることが明らかになりました。[Int. J. Multiphysics, 7(2013)19-30]

Fig.7
Fig.7 Analysis of levitated liquid droplet: Surface flow on droplet in acoustic standing wave

回転液滴を利用した粘性測定

浮遊液滴の回転形状変化から粘性を求める手法では、液滴形状が、球から回転楕円体を経てダンベル形状になることを利用します。Fig.8は、回転により形状が変化する様子を示したもので、回転数と伸びの関係は実験と一致すること、ダンベル内に二つの渦が発生すること等が明らかになりました [Physical Review Fluids, 5(2020)083607]。

Fig.8
Fig.8 Transient variations of droplet shape and velocity vector

ナトリウム液滴の燃焼挙動

高速炉の事故の際には、冷却材のナトリウムが漏れて液滴化し、激しく燃焼することが格納容器の健全性の観点から懸念されています。通常の解析では、ナトリウム液滴を固体として扱い、周辺の燃焼場のみを検討しますが、液滴内も流体として扱い、燃焼反応が流れ場に及ぼす影響を調べました。

Fig.9は、CFDコードFLUENTに燃焼反応モデルを導入し、吊り下げられた液滴の燃焼実験の解析を行った結果です。上が圧力分布、下が速度ベクトルを示しており、形状に応じた圧力分布と表面張力による内部渦の形成が明らかになりました。[WSEAS Trans. Heat Mass Trans., 14(2019)38]

Fig.9
Fig.9 Analysis of sodium droplet combustion: Pressure distribution (upper) and velocity vector (lower)