研究所の取り組み

ビデオ会議による国際的な研究室ゼミ

 

 廃止措置工学の研究と教育をグローバルな視野で展開することを目的に、国内外の大学や研究機関との連携ネットワークの構築に取り掛かりました。はじめの一歩として、独カールスルーエ工科大学との合同ゼミを、ビデオ会議システムを用いて月1回程度実施しています。

 

廃止措置セミナー

 

 福島第一原子力発電所の廃止措置に貢献する人材を育成するために、福島第一原発の課題と廃止措置について学ぶ廃止措置セミナーを毎年2月頃に開催します。 平成27年度は平成28年2月22日~25日に開催しました。大学生・大学院生を対象に地元福島で廃止措置セミナーを実施するのは我々が初めてです。廃止措置の基本事項、福島第一原子力発電所(福島第一)の廃止措置の現状や課題に関する講義・討論を行うとともに、福島第一の廃炉現場、JAEA楢葉遠隔技術開発センターを見学しました。これらを通じて、福島の現状に対して我々が解決すべきさまざまな問題を総合的に学びました。

  ※このセミナーは文部科学省廃止措置研究・人材育成等強化プログラム
  「福島第一原子力発電所の燃料デブリ分析・廃炉技術に関わる研究・人材育成」における取り組みの一部です。

 

廃止措置国際セミナー

 

 海外の大学や研究機関と協力して、国内外の大学生・大学院生を対象とした廃止措置に関する国際セミナーを毎年開催します。ただいま、平成28年度のプログラムを独カールスルーエ工科大学や米アルゴンヌ国立研究所と協力しながら準備しています。

                        米アルゴンヌ国立研究所との打合せ風景
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  ※このセミナーは文部科学省廃止措置研究・人材育成等強化プログラム
  「福島第一原子力発電所の燃料デブリ分析・廃炉技術に関わる研究・人材育成」における取り組みの一部です。

 

カールスルーエ工科大学への短期留学

 

 公益財団法人若狭湾エネルギー研究センター様の支援でドイツ、カールスルーエ工科大学に三か月間留学しました。留学中は放射性廃棄物の分離について研究を行い、IAEAテクニカルミーティング、廃止措置についての国際会議であるICONDへの参加、現在廃止措置準備中であるBiblis原子力発電所の見学等を行いました。

 
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ベトナム人短期留学生の研究指導

 

 科学技術振興機構の援助制度を利用して、ベトナム人研究生(Nguyen Quang Huongさん)が約7週間滞在し、研究チームに加わりました。当研究室での滞在中に、熱交換器の除染・解体作業を例にとって、各々の作業員の作業時間や作業内容に応じた被ばく線量率の推定を行い、被ばく線量の観点から除染・解体作業方法について検討しました。帰国後、ベトナム放射線・原子力安全規制庁(VARANS)に戻りましたが、廃止措置を含めた安全規制の第一線での活躍を目指しているようで、頼もしい限りです。

 

JAEAとの共同研究

 

 福井大学では、原子炉廃止措置研究開発センター(JAEA:ふげん)と共同で原子力施設における解体シナリオの最適化に関する研究を行っております。原子力施設の廃止措置では様々なシナリオを想定できますが、それらを分析し、環境や地域住民の安全を最優先として費用、作業者の被ばく量、人工数、廃棄物等が最適となるようなシナリオを選択できるように、廃止措置の計画立案のための意思決定を支援します。 また、廃止措置に関する膨大な技術や知識を蓄積し、適切な利用や次世代への継承を行う目的で知識マネジメントに関する研究も行っております。知識工学的手法を用い膨大な知識を検索するためのシステムや、知識・技術の継承のために仮想現実(VR:Virtual Reality)、拡張現実(AR:Augmentated Reality)を活用したシステムの開発を行っております。