異分野横断セミナー(2013年度)

第29回(2014/03/20)

「Survey research on risk communication for the effect of radiation exposure regarding Fukushima nuclear accident」
  Chimedtsogzol Nyambuu(School of Materials Science, Mongolian University of Science and Technology)

 Chimedtsogzol Nyambuu 氏は2008 年にIndustrial Ecology Engineering, Mongolian University of Science and Technology にて修士号を取得され、School of Materials Science, Mongolian University of Science and Technology のTeacher に着任されました。2013 年11 月より5 ヶ月間、「公益財団法人若狭湾エネルギー研究センター 平成25 年度海外研究者・研究生受入制度」により、本研究所に大学院外国人研究生として所属し、平常時における日本の放射線モニタリングの現状と福島で放射線モニタリング、またリスクコミュニケーションについて研究に従事されました。本セミナーでは、その成果について報告いただきます。

 

第28回(2014/03/13)

「原子燃料市場概観と商事会社の原子力産業での活動」
  吉添 誠(三菱商事㈱若狭事務所長 兼 三菱商事パワーシステムズ(株)若狭支店長)

【紹介】
 吉添氏は大阪大学大学院工学研究科修士課程を修了後、三菱商事(株)に入社されて以来25 年間原子力業界に携わっておられます。現在は同社の若狭事務所で多くの有力企業の代理店として、関西電力原子力発電所向け業務に従事されています。
 本セミナーでは、同氏が主に従事して来られた世界の原子燃料市場の概観につき講演戴くと共に、ご自身の経験も交えた日本の商事会社の原子力産業への関わりをご紹介戴きます。
 また、採用面接官としてのご経験を踏まえて、企業が求める人物像、社会人となった後に求められる姿勢についてのご自身の考えをお話し頂く予定です。

 

第27回(2014/02/17)

「画像診断技術を利用した重粒子線治療の高度化」
  高井伸彦(長崎国際大学薬学部、薬品分析化学研究室、准教授)

【紹介】
 福岡大学大学院博士後期課程をご修了、博士(薬学)を取得され、九州大学歯学部薬理学研究室・研究員、科学技術振興事業団・科学技術特別研究員、独立行政法人放射線医学総合研究所・重粒子医科学センター・研究員を務められ、平成18 年より長崎国際大学薬学部・准教授にご着任されました。
 本セミナーでは、画像診断技術を利用した重粒子線治療の高度化について、さらに長崎国際大学のご紹介や、原子力防災における薬剤師という職種の役割、地域開放講座での放射線教育の取組(高校との連携)等についてご講演いただきます。教職員ならびに学生(地域の高校生、大学生、大学院生)など、広く聴講していただきたくご参加をお待ちしています。

 

第26回(2014/02/13)

「福島復興問題概観 1.福島原発事故の東電及び国等に対する財政的インパクト、2.福島原発事故の健康影響」
  松井秀幸(福島県立医科大学 放射線医学県民健康管理センター 特命教授)

【紹介】
 松井先生は1984 年に横浜国立大学経営学部をご卒業ののち、国税庁国税専門官にご着任され、その後財務省国際金融局国際資本課係長、国際復興開発銀行(世界銀行)日本理事室理事補、財務省国際局為替市場課課長補佐、(独)国際観光振興機構ニューヨーク事務所次長、財務省国際局地域協力課課長補佐、内閣官房副長官補室参事官補佐などをご歴任されました。
 2012 年7 月より福島県立医科大学 放射線医学県民健康管理センター 国際連携部門の特命教授にご着任され、現在までご活躍されています。
本セミナーでは、福島復興問題の概観として、福島原発事故の東電及び国等に対する財政的インパクト、福島原発事故の健康影響、ならびに福島県立医大放射線医学県民健康管理センターでの国際連携活動として、国際的な視点から見た福島問題や国際機関の役割などについてご講演いただきます。
 福島原発事故についての活動の現場を知るまたとない機会です。特に学生のみなさまのご参加をお待ちしています。奮ってご参加いただけますよう、宜しくお願い致します。

 

第25回(2014/01/22)

「光医療の産業展開」
  岡 潔 (日本原子力研究開発機構、福井大学附属国際原子力工学研究所客員教授)

【紹介】
 岡潔先生は日本原子力研究所(現:日本原子力研究開発機構)に入所以来、核融合炉でのメンテナンスロボットや原子炉事故時に役立つロボットの開発に携わってこられました。現在では、ロボット技術開発から生まれた光ファイバ技術を医療分野へと展開し、レーザー外科手術機能を併せ持つ光ファイバ内視鏡として、多くの人命を救うことに繋げておられます。
 このセミナーでは、これまでの先生のご経験をもとに、原子力研究、特にロボット開発から光医療へと分野を展開されてこられた経緯や最先端の現状や今後の展望について、ご講演頂く予定です。
 なお、本講演は、「放射線生物学」の講義の一環としても位置づけ、その講義時間内に開催させて頂きます。

 

第24回(2014/01/06)

「福島第一原子力規制事務所の活動について」
  北嶋 勝彦 (原子力規制庁 福島第一原子力規制事務所)

【紹介】
 国士舘大学大学院スポーツ・システム研究科救急救命システムコース(現在 救急システム研究科)修士課程を修了。敦賀美方消防組合にて消防吏員を拝命され、消防業務に従事されました。平成16年8月、関西電力美浜発電所3号機において発生した2次系蒸気配管破断事故では、救急隊の救急救命士として、現場にて傷病者10名のトリアージを行い病院への搬送をご担当されました。平成24年経済産業省原子力安全・保安院に入省し、原子力規制庁発足に伴い、現在、福島第一原子力規制事務所にてご活躍されています。 
 原子力規制庁の現地事務所として、原子力保安検査官及び原子力防災専門官が24時間態勢で福島第一原子力発電所免震重要棟内の緊急対策室に駐在し、東京電力から状況の聞き取り、作業現場の立会及び日々の発電所内の巡視等を通して、東京電力が実施する福島第一原子力発電所の安全確保及び同1~4 号機の廃炉への着実な実施を監督しておられます。本セミナーでは、これらの活動状況についてご紹介いただきます。

 

第23回(2013/12/20)

「放射線の生物作用とクラスターDNA損傷」
  鹿園 直哉 (日本原子力研究開発機構 量子ビーム応用研究部門)

【紹介】
 鹿園氏は1994 年東京大学大学院農学系研究科 博士課程をご修了ののち、日本原子力研究開発機構 先端基礎研究センター イオンビーム植物遺伝子研究グループ 研究員にご着任されました。2010 年4 月より、日本原子力研究開発機構 量子ビーム応用研究部門 照射細胞解析研究グループ・グループリーダーを拝命され、放射線の生物作用とクラスターDNA損傷に関する研究を中心にご活躍されています。
 クラスターDNA 損傷は電離放射線の生物作用の主要な原因の一つであると推察されています。本セミナーでは、クラスターDNA 損傷の誘発及びその生物作用の研究についてご紹介いただきます。

 

第22回(2013/11/21)

「近畿三角地帯」から読む敦賀の歴史的特質」
  外岡 慎一郎 (敦賀市立博物館/みなとつるが山車会館 館長)

【紹介】
 1954 年神奈川県横浜市生まれ。中央大学大学院文学研究科国史学専攻単位取得満期退学。東京大学史料編纂所非常勤職員等を経て、1986 年、敦賀女子短期大学専任教員として敦賀に赴任。2013 年より現職(敦賀短期大学廃止に伴い)。
 専門は日本中世史。14 世紀の国家論・地域社会論を中心に研究をすすめるかたわら、敦賀赴任後は敦賀を中心とする地域史研究(豊臣政権下の敦賀城主大谷吉継や気比社、敦賀津、「敦賀屋」など)にも取り組む。東日本大震災後は若狭湾沿岸地域の地震・津波史料を収集し、その評価については県内の異分野(地震・地質・物理等)研究者と協議・協働の場を設けながら進めている。

セミナーの様子
セミナーの様子

 

 

第21回(2013/11/13)

「The use of CR-39 Plastic Nuclear Track Detector in quantifying the contribution to dose in healthy tissue from Secondary Neutrons in Proton and Photon Radiotherapy」
  Eric Benton (オクラホマ州立大学、米国)

セミナーの様子
セミナーの様子

 

 

第20回(2013/11/11)

「原子炉の安全性を高めるために ~微細組織の研究が出来る貢献~」
  大野 直子 (北海道大学工学部 助教)

【紹介】
 大野氏は東北大学大学院工学研究科(金属材料研究所内講座)で博士(工学)を取得され、京都大学エネルギー-理工学研究所で特別研究員を経て 現在北海道大学工学部にて研究されています。研究内容はジルカロイ合金中の水素化物の照射挙動、銅や鉄のナノボイド構造の材料物性研究、先進型原子力構造材料のODS 鋼の研究開発に従事 されており、2013 年日本原子力学会材料部会奨励賞を受賞された気鋭の若手研究者です。
 本セミナーでは高速炉被覆管材料として研究を進められているODS 鋼開発を中心に微細組織研究の観点からご講演いただく予定です。

 

第19回(2013/09/02)

「建物の絶対制震(アクティブ免振)の実用化について」
  蔭山 満 (元大林組技術研究所)

【紹介】
 蔭山氏は福井大学工学部建築学科、同大学大学院修士課程をご卒業されてから、大林組技術研究所に37 年間勤務され、昨年12 月にご退職されました。在職中は特に建物の免震、制振の研究を精力的に行ってこられ、関連技術に関して多数の特許を取得されておられます。
 また、2005 年には日本大学より学位を取得され、2011 年には日本免震構造協会賞作品賞を受賞されました。本セミナーでは、蔭山氏が長年取り組んできた「建物の絶対制震(アクティブ免振)の実用化」についてご講演頂きます。

 

第18回(2013/08/19)

「福島第一原子力発電所80km圏内の放射性物質の分布状況の変化モデル開発」
  木名瀬 栄 (独立行政法人 日本原子力研究開発機構 安全研究センター 放射線安全・防災研究グループ主任研究員)

【紹介】
 木名瀬氏は東北大学大学院にて博士(工学)を修められ、専門は放射線計測・防護学です。現在、日本原子力研究開発機構 放射線安全・防災研究グループ主任研究員として、また茨城大学連携大学院にて客員教授として活躍されています。本セミナーでは、福島第一原子力発電所事故後に測定で得られた、空間線量率などの放射性物質の分布状況調査結果をもとに開発している、放射性物質の分布状況の変化モデルについて、概略をご紹介頂きます。

 

第17回(2013/08/09)

「国際宇宙ステーションと放射線:有人宇宙滞在のための宇宙放射線に関する研究」
  永松 愛子(宇宙航空研究開発機構(JAXA) 宇宙放射線計測担当 主任開発員)

【内容】
 放射線に関連する分野はすそ野が広く、ある特定の分野の技術開発が異なる分野ですぐに役に立つことがたくさんあります。国際宇宙ステーション有人実験施設「きぼう」での放射線の測定技術や最新の研究トピックスを紹介していただきます。

セミナーの様子
セミナーの様子

 

 

第16回(2013/08/09)

「低線量放射線影響下である国際宇宙ステーション「きぼう」実験棟における研究と取組み」
  永松 愛子(宇宙航空研究開発機構(JAXA) 宇宙放射線計測担当)

【紹介】
 宇宙環境における低線量放射線環境は、地上のそれと状況が全く異なります。国際宇宙ステーションという特別な環境でどのように放射線を測定しているか、またステーション内の「きぼう」においてどのような研究がなされているかについて講演いただきます。
 条件が限られた環境下での取組を知り、我々の研究に生かせればと思います。

 

第15回(2013/08/07)

「Introduction to the discussion about the Fukushima Diichi accident and countermeasures」
  Ondrej Ploc (Department of Radiation Dosimetry, Nuclear Physics Institute, Czech Republic)

【紹介】
 講演者は、東日本大震災の際、放射線医学総合研究所に滞在していました。家族とともに被災したにもかかわらず、同僚を助け、放射線計測の専門家として活動を続けました。帰国後は、自国のメディアに日本の状況を紹介したり、航空機での通常の線量測定値と福島の線量を比較したりするなど、多くの貢献をしました。2年を経過した後も、福島第一原子力発電所を訪れたり、日本からの情報を集約して自国で紹介したりするなど、復興の手助けをしています。

 

第14回(2013/06/06)

「放射性Csの環境挙動-移行挙動解明と除染法への応用-」
  大貫 敏彦(独立行政法人 日本原子力研究開発機構先端基礎研究センター)

【紹介】
 大貫氏は、北海道大学大学院工学研究科修士課程を終了後、日本原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)に入所されました。環境安全研究部、環境科学研究部を経て、2005 年より現職にご着任され、現在はバイオアクチノイド化学研究グループリーダー(上級研究主席)として重元素を集める微生物の分子メカニズムの解明などの研究でご活躍されています。博士(理学)、ご専門は地球化学です。
 本セミナーでは、放射性Cs の環境挙動、移行挙動解明と除染法への応用等についてのご講演をお願いします。

 

第13回(2013/05/21)

「原子炉等規制法令(福島第一原子力発電所事故とその後のシビアアクシデント対策について)」
  森田 深(原子力規制庁 地域原子力規制統括管理官(若狭地域担当))

【紹介】
 森田氏は、北海道大学にて土木工学を専攻された後、通商産業省に入省され、資源エネルギー庁公益事業部計画課長補佐、原子力安全・保安院 原子力防災課原子力事故故障対策・防災広報室長等を歴任されました。その後、平成20 年5 月から約4 年間は国際原子力機関(IAEA)において耐震評価基準の策定等を推進されました。平成24 年9 月より原子力規制庁 地域原子力安全統括管理官(若狭地域担当)として主に嶺南地域でご活躍されております。
 本セミナーでは、福島第一原子力発電所事故の教訓ならびに原子炉等規制法令の変更点、また、耐震評価基準やリスク評価等についてのご講演をお願いします。

 

第12回(2013/04/26)

「カリフォルニア大学サンタバーバラ校客員研究員記」
  中森 文博 (福井大学大学院 工学研究科 原子力・エネルギー安全工学専攻)
「フランス原子力庁CEA Saclayでの材料特性評価技術研修」
  四方 章仁 (福井大学大学院 工学研究科 原子力・エネルギー安全工学専攻)

【紹介】
 財団法人若狭湾エネルギー研究センターの「2012年度「国内原子力人材の国際性向上」に係る留学生募集支援制度」により、海外の原子力分野の研究機関に短期留学し、研究活動を行った博士前期課程の学生二名に講演をして頂きます。
 中森文博氏は有田研究室(原子炉燃材料部門)に所属し、マイナーアクチノイド合金について研究しています。カリフォルニア大学サンタバーバラ校には2012年10月7日から12月25日の間滞在し、主に核融合炉材料の研究に従事しました。
 四方章仁氏は福元研究室(原子炉構造システム部門)に所属し、原子炉材料中の照射欠陥と転位挙動の動的相互作用観察の研究を行っています。2012年11月27日から2013年02月22日の間、CEA(Saclay)のLM2E(L:Laboratory, M:Microscope, 2E:etudes de Endommagement)に留学し、Zr 合金の酸化腐食速度への影響の研究に従事していました。留学先での研究成果や、留学先で起こった出来事とその対処、今回の活動を通じて得たことなどについて紹介していただきます。学生の皆さんにはぜひとも聴講していただき、海外での活動について興味を深めていただければと願っています。

セミナーの様子
セミナーの様子

 

第11回(2013/04/17)

「Clustered DNA damage induced by radiation on sub-cellular level‐effect of scavengers」
  Katerina Pachnerova Brabcova (チャルマー工科大学、スウェーデン)
「Proton and Ion Beam Therapy」
  Lembit Sihver (チャルマー工科大学、スウェーデン)
 

第10回(2013/04/16)

「敦賀発電所 敷地内破砕帯、敷地周辺活断層の評価等に係る取組みついて」
  神谷 昌伸 (日本原子力発電株式会社 開発計画室 許認可グループマネージャー 、兼 発電管理室 業務運営グループ 課長)

【紹介】
 神谷氏は、名古屋大学大学院にて原子核工学を専攻された後に、日本原子力発電株式会社入社されて、ほぼ一貫して敦賀発電所3,4号機増設計画のプロジェクト業務に従事されておられます。地元の了解取得、公開ヒアリング、設置変更許可申請書の作成、規制当局との安全審査対応事務局、準備工事の許認可手続きなどを担当されてこられました。関連してこの10 年ほどは、耐震関連(地質調査、地震動評価、耐震評価、耐震工事)の社内とりまとめや対外説明にも携わっておられます。
 本日のセミナーでは、神谷氏をお招きし、敦賀発電所とその周辺の活断層の分布と活動の特徴、ならびに昨年来実施されてきている敷地内の破砕帯に関する調査状況について、ご紹介を頂きたいと思います。福井大学で原子力関係の研究・教育に関わる私たちにとっては、メディアからの情報ではなく、関係者の見解を直接伺うたいへん良い機会になると考えております。我が国のような地震国において、原子力を抱えるリスクと原子力がもたらすベネフィットの両者を自分で判断する力を養う一助になればと考えております。

(前年度の実績はこちら)