異分野横断セミナー(2014年度)

第46回(2015/03/30)

「原子核乾板による宇宙線ミューオンラジオグラフィシステムの開発と多分野への展開」
  森島 邦博(名古屋大学エコトピア科学研究所・高等研究院、特任助教)

【紹介】
 原子核乾板は、サブミクロンの3次元位置精度で荷電粒子の軌跡を記録する高感度写真フィルムである。講演者のグループは、地球大気層で生成された高い透過力を持つ宇宙線ミューオンを用いることで、X線では通過できないような大型構造物の非破壊イメージング技術の開発を進めている。原子核乾板を用いる利点は、ミューオンの飛来方向を高精度に検出し、かつ電源不要・コンパクトであるために設置場所を選ばない事である。これらの特徴を生かして、原子炉、火山、考古学遺跡、ダムや堤防など多分野への応用を進めており、これらの現状について講演を頂く。
 なお、本講演は「第29回固体飛跡検出器研究会」の招待講演の一環としても実施する。

 

第45回(2015/03/26)

" Radiation monitoring Networks in Japan and the World "
  Shirosh Ayeshmantha Peiris (セイロン電力庁、スリランカ)

【紹介】
 Shirosh Ayeshmantha Peiris氏は、Electrical Engineerとしてスリランカのセイロン電力庁に勤務されています。本セミナーでは、日本および世界各国の放射線モリタリングのネットワークについてお話しいただきます。


" Nuclear education curriculum in Mongolian University of Science and Technology"
  Dr. Erkhembayay Tseveen(モンゴル科学技術大学 Vice Director, School of Applied Science、モンゴル)

【紹介】
 Erkhembayay Tseveen氏は、物理学を専門とされ、モンゴル科学技術大学のSchool of Applied ScienceにてVice Directorを務められています。本セミナーではモンゴル科学技術大学での原子力教育についてご講演いただきます。

 

第44回(2015/02/27)

「ナノフォトニクス応用光計測と統計的アプローチによる高感度画像計測」
  水谷 康弘(徳島大学工学部機械工学科 大学院ソシオテクノサーイエンス研究部 講師)

【紹介】
 大阪大学大学院工学研究科原子力工学専攻博士前期課程を修了後、松下電器産業株式会社に入社されました。東京農工大学大学院工学府機械システム工学専攻の教務職員を務められている間に博士(工学)号(東京農工大学)を取得されました。2009年より徳島大学に講師として着任されました。ご専門は応用光学 (Applied Optics)、ナノフォトニクス、光応用計測です。本セミナーでは、ナノフォトニクス応用光計測と統計的アプローチによる高感度画像計測について、ご講演を頂きます。

 

第43回(2015/01/29)

「福島の現状についての社会学的整理」
  開沼 博(福島大学うつくしまふくしま未来支援センター 特任研究員)

【紹介】
 【講演者紹介】福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員(2012-)。読売新聞読書委員(2013-)。経済産業省資源エネルギー庁総合資源エネルギー調査会原子力小委員会委員(2014-)。これまでに、福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)ワーキンググループメンバー(2011-2012)復興庁東日本大震災生活復興プロジェクト委員(2013-2014)をご歴任。
 1984 年福島県いわき市生まれ。東京大学文学部卒。同大学院学際情報学府修士課程修了。現在、同博士課程在籍。専攻は社会学。著書に  『漂白される 社会』(ダイヤモンド社)『フクシマの正義 「日本の変わらなさ」との闘い』(幻冬舎)『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』(青土社)『地方の論理 フクシマから考える日本の未来』 (同、佐藤栄佐久氏との共著)
 『「原発避難」論 避難の実像からセカンドタウン、故郷再生まで』(明石書店、編著)など。
 学術誌の他、「文藝春秋」 「AERA」などの媒体にルポ・評論・書評などをご執筆。
 本セミナーでは、福島の現状について、社会学的見地から、ご講演を頂きます。

 

第42回(2015/01/28)

"Radiation monitoring in the West coast of Sri Lanka "
  Shirosh Ayeshmantha Peiris (セイロン電力庁、スリランカ)

【紹介】
 Shirosh Ayeshmantha Peiris氏は、Electrical Engineerとしてスリランカのセイロン電力庁に勤務されています。本セミナーでは、スリランカの西海岸の放射線モリタリングについてお話しいただきます。

 

第41回(2015/01/21)

「光医療の産業展開」
  岡 潔 日本原子力研究開発機構(福井大学附属国際原子力工学研究所 客員教授)

【紹介】
 岡潔先生は日本原子力研究所(現:日本原子力研究開発機構)に入所以来、核融合炉でのメンテナンスロボットや原子炉事故時に役立つロボットの開発に携わってこられました。現在では、ロボット技術開発から生まれた光ファイバ技術を医療分野へと展開し、レーザー外科手術機能を併せ持つ光ファイバ内視鏡として、多くの人命を救うことに繋げておられます。このセミナーでは、これまでの先生のご経験をもとに、原子力研究、特にロボット開発から光医療へと分野を展開されてこられた経緯や最先端の現状や今後の展望について、ご講演頂く予定です。

 

第40回(2014/11/27)

“Nuclear Power in Sweden ? before and after the Fukushima Accident”
  Prof. Lembit Sihver(チャルマース工科大学(スウェーデン))

【紹介】
 レンビット・シーバー先生は、ポスドクの頃に、放医研にて重粒子線がん治療の粒子輸送計算・治療計画を担当しました。現在のがん治療でも同氏の開発した計算コードを基にしています。その後、ドイツ重イオン研究所(2 年)、ABB/Westinghouse Atom AB での研究・教育経験(7 年)を経て、2002 年より、チャルマー工科大学の教授に就任されました。  このセミナーでは、Westinghouse(スウェーデン)での経験をもとに、福島での原子力災害の前後におけるスウェーデンの原子力事情についての講演をお願いします。

 

第39回(2014/11/04)

"What do we know about low dose low LET ionizing radiation ??"
  Prof. Lembit Sihver(チャルマース工科大学(スウェーデン))

【紹介】
 レンビット・シーバー先生は、ポスドクの頃に放射線医学総合研究所にて重粒子線がん治療の粒子輸送計算・治療計画を担当しました。現在のがん治療でも同氏の開発した計算コードを基にしています。その後、ドイツ重イオン研究所(2 年)、ABB/Westinghouse Atom AB での研究・教育経験(7 年)を経て、2002 年より、チャルマー工科大学の教授に就任されました。今回のセミナーでは、低線量の低LET 放射線による生体影響に関するトピックスを中心にご講演いただきます。

 

第38回(2014/10/17)

「放射線挙動解析コード PHITS の概要とその応用」
  佐藤 達彦(日本原子力研究開発機構 原子力基礎工学研究センター 環境・放射線科学ユニット 放射線防護研究グループ)

【紹介】
 佐藤達彦氏は、広範なエネルギー範囲の各種の放射線を扱う汎用の粒子・重イオン輸送計算コードの開発を中心的に進めてきた人物のひとりです。また、最もアクティブに、その有用性を検証・展開されてきた人物でもあり、広い分野に深い知見をお持ちです。原子力防災・危機管理部門でも、これを用いた計算ができる人物を育てたいと考えています。
 PHITS(Particle and Heavy Ion Transport code System)とは、任意の体系中における放射線の挙動を、核反応モデルや核データを用いて模擬する汎用的な放射線輸送計算コードです。陽子・中性子・重イオン・電子・光子など様々な放射線の挙動を広いエネルギー範囲で解析できるため,原子力分野での放射線遮へい計算をはじめ、医療、宇宙開発分野など工学・医学・理学の分野で幅広く利用されています。

 

第37回(2014/10/10)

「Thai Nuclear Safety Regulation」
  Ms.Apisara Charoensri(Radioactivity Monitoring Group, Bureau of Technical Support for Safety Regulation Office of Atoms for Peace.)

【紹介】
 タイのモンクット王トンブリー工科大学で修士の学位を取得(材料技術専攻)され、現在はタイ原子力庁に勤務されています。タイの原子力事情と原子力規制についてお話しいただきます。

 

第36回(2014/09/29)

「研究所とともに・・・~研究所設立から敦賀移転まで~」
  西岡 衛(福井大学附属国際原子力工学研究所 所長補佐)

【紹介】
 昭和42年に福井大学事務職員として採用され、平成6年から埼玉大学入試課長を皮切りに香川大学学生課長、広島大学教務課長、富山大学学生部長などを経て、平成19年に福井大学総務部長に着任。平成21年3月に定年退職、同年4月から附属国際原子力工学研究所に勤務。
 附属国際原子力工学研究所の設立前後の経緯、設立後、研究所が敦賀市に移転するまでの間の舞台裏、研究所に期待すること等について講演する。

 

第35回(2014/09/22)

「世界原子力大学夏季研修に参加して」
  佐々木孔英(福井大学工学研究科総合創生工学専攻博士2年)

【紹介】
 現在、社会人博士課程2年生として、当研究所の福元研究室に所属。修士課程より、高速炉燃料被覆管材の照射や腐食について研究。一方、社会人としては日本原子力研究開発機構で高速増殖炉「もんじゅ」のメンテナンスを担当し、高速炉特有機器の燃料取扱システムの保守・補修に従事している。
 当講演では、今年7月~8月中旬に行ってきた海外研修(世界原子力大学 夏季研修2014)について報告する。研修内容や成果を先生方や学生達と共有することを目的とする。
 世界原子力大学(World Nuclear University)は、グローバル化する21世紀の原子力をリードする次代の指導者育成を目指し、IAEA、OECD/NEA、WNA、WANO が共同で運営する原子力人材育成プロジェクトである。夏季研修はその中心的活動であり、夏季の6週間、30数ヶ国100名の若者(30歳前後のフェロー)が、国際機関や各国で原子力分野のリーダーから「課題」を聴き、解決への道を一緒に英語で探る。短期だが密度濃い「研修」であると同時に、「原子力人生」で役立つ「ネットワーク」を作ってそれぞれの職場に戻ることを目的とする。国際社会で活躍しようとする人だけでなく、国内でビジネス、研究、原子力行政に携わる人にも国際感覚を育てる「格好の訓練の場」である。

 

第34回(2014/09/12)

“Activities of the Czech Nuclear Physics Institute in the EUropean RAdiation DOSimetry (EURADOS) groups”
  Ondrej Ploc(Department of Radiation Dosimetry, Nuclear Physics Institute, Czech Republic)

【紹介】
 講演者は、東日本大震災の際、放射線医学総合研究所に滞在していました。家族とともに被災したにもかかわらず、同僚を助け、放射線計測の専門家として活動を続けました。帰国後は、自国のメディアに日本の状況を紹介したり、航空機での通常の線量測定値と福島の線量を比較したりするなど、多くの貢献をしました。3 年を経過した後も、福島第一原子力発電所を訪れたり、日本からの情報を集約して自国で紹介したりするなど、復興の手助けをしています。
 また、彼の所属するチェコ科学アカデミー原子核物理研究所は、ENEN(欧州原子力教育ネットワーク)に所属しているチェコ工科大学と組織を同じくしています。今後、学生の留学先候補として、また留学生派遣元として、我々と密接な関係を構築していく予定です。

 

第33回(2014/08/26)

「原子力・放射線関連産業界からみた資格制度と社会での活用」
  山下 大地(株式会社アトックス)

【紹介】
山下 大地 氏
 株式会社アトックス事業開発部兼事業統括部 副課長。これまで、主にRI 施設の放射線管理業務や放射線関連工事、変更承認申請書作成(設計会社との設計コンサルの助勢)等に従事されました。その他、震災直後は、福島第一原子力発電所事故における対応にも参画し、幅広い知見をお持ちです。日本原子力学会会員、第1 種放射線取扱主任者。
 原子力関連企業の立場からみた、業界に関連する資格が実際にどのような場面で役立つのかについてご講演頂きます。また、これまでのご経験を基に、それらの資格を活かした、特にRI 分野でのトピックスおよび震災後の福島対応について事例を挙げて解説いただきます。

 

第32回(2014/07/14)

「DNA 損傷時に誘導されるエピジェネティックな遺伝子発現制御機構の解明」
  沖 昌也(福井大学大学院工学研究科 生物応用化学専攻)

【紹介】
 沖先生は、DNA 配列に依存せず遺伝子の発現状態が変化する「エピジェネティックな発現制御機構」の分子レベルでのメカニズム解明についてご研究されています。本講演では、1 細胞レベルでの世代を越えたエピジェネティックな発現状態変化を追跡するシステムにより明らかになってきた最新の研究結果についてご紹介頂きます。これは沖先生のグループが独自に確立した蛍光タンパク質を用いることにより達成されました。また、DNA 損傷時に誘導されるエピジェネティックな発現制御を受ける遺伝子に関する解析結果についてもご講演頂きます。

 

第31回(2014/05/07)

「フランスENSCP 留学:有機相/水相によるリン酸抽出を利用したウラン及びリン酸の精製」
  平等 雅巳(福井大学大学院 工学研究科 原子力・エネルギー安全工学専攻 博士前期 課程2年 附属国際原子力工学研究所 有田研究室)
「スウェーデン チャルマース工科大学留学:放射線によるDNA 損傷の測定と解析」
  戸田 圭哉(福井大学大学院 工学研究科 原子力・エネルギー安全工学専攻 博士前期課程2年 附属国際原子力工学研究所 安田研究室)

【紹介】
 財団法人若狭湾エネルギー研究センターの「2013 年度「国内原子力人材の国際性向上に係る留学支援制度」により、海外の原子力分野の研究機関に短期留学し、研究活動を行った博士前期課程の学生二名に講演をして頂きます。
 留学先での研究成果や、留学先で起こった出来事とその対処、今回の活動を通じて得たことなどについて紹介していただきます。学生の皆さんにはぜひとも聴講していただき、海外での活動について興味を深めていただければと願っています。

 

第30回(2014/04/25)

「EAL(緊急時活動レベル)についての勉強会」
  安田仲宏 (福井大学附属国際原子力工学研究所)

【セミナー内容】
 原子力災害対策指針改定により、原子炉毎の詳細なEAL(緊急時活動レベル)設定がなされました。本セミナーでは、住民への「普段からの情報提供」を進めることを目的とし、この資料について市役所を支援する立場から大学として中身を把握し、また、それを元にして今後どういう広報のあり方が考えられるかについて検討します。なお、本セミナーは関西電力、日本原電による敦賀市・福井大学に対する勉強会として開催し、これを異分野横断セミナーとして福井大学教職員ならびに学生に参加していただけるよう企画致しました。多くの方のご参加をお待ちしています。
 

(前年度の実績はこちら)